2016/09/17 アロマは薬だった?匂いを楽しむだけじゃないアロマとハーブの深い話

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1-1_ayamiプロのフグ職人なら、フグの食べてよい部分と、食べてはいけない部分を知っている。それは、何千年にもわたって、私たちが経験的に学び、伝えていった知識だ。

食べ物と同じように、私たちは経験的に、野原に生えている草木やそれらが漂わせる香りには、炎症を抑える作用があること、気分を高めたり落ちつかせたりする作用があることを知っている。これらを体得した人々を、古代ではシャーマンと呼び、現代では医者と呼ぶ。そしてそれらの草木は、薬草、アロマ、お香、薬、時には麻薬などと呼ばれる。

日本ではアロマはただの雑貨

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日本では薬機法(旧:薬事法)の関係で、アロマやハーブは『薬』ではなく『雑貨』として扱われている。それらはあくまでも、見て、触れて、楽しむためのものという位置づけだ。「ラベンダーは安眠効果があります」、「ペパーミントは消化を促進します」ということは、海外ではうたうことができても、日本でははっきりと言うことができない。時々、「最近なんだかウトウトする方へ」などといったモヤモヤとした広告表現を見かけるのも、安眠の効果効能をうたうことが禁止されていることに対する逃げ道なのだ。

こういった経緯があるからか、日本ではアロマはただ良い香りのするもの、ハーブはヘルシーなお茶、といった程度の認識の人が多い。私は無添加アロマ石鹸を作る仕事をしているが、新商品を企画する際、特に男性の担当者から「もっと強い匂いがするものとか、チョコレートの匂いのアロマ石鹸とか作ってよ」というリクエストをしばしば受ける。「強い匂いやチョコレートの匂いは、アロマオイルではなく合成香料を使わなければならないんです」と言うと、「じゃあそれでお願い」という話になるのはいつものこと。アロマはフランスでは漢方のように医師が処方する話や、ミイラの防腐剤としてミルラというアロマが使われていたという話をすると、「香りに効能があるなんて話、初めて聞いたよ」と非常にびっくりされる。

ハーブやアロマからできた薬

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アスピリンは、解熱鎮痛消炎剤としてよく知られているが、これももとはハーブだった。古代ギリシャ・ローマの時代から、『柳の木』に熱を下げたり痛みを取る作用のあることが経験的に知られていた。ラテン語で柳を意味するサリックス(salix)にちなみ、この成分はサリチル酸と名付けられる。のちにドイツのバイエル社が、サリチル酸をアセチル化して、アセチルサリチル酸を生成、『アスピリン』として商標登録した。現在、日本では『バファリンA』として販売されており、バファリンとは、英語で緩和するという意味のバッファー(buffer)とアスピリンのリンを組み合わせた造語だそうだ。

ちなみにこのサリチル酸をエステル化して、サリチル酸メチルとして生成したものは、湿布薬として有名な『サロンパス』のあの香りの成分だ。実はこのサリチル酸メチル、つまりあのサロンパスの香りは、アロマオイルにもなっていて、『ウィンターグリーン』という名前で販売されている。ウィンターグリーンの匂いを嗅ぐと、まさにサロンパスの香りそのもの。ウィンターグリーンのアロマオイルはラベンダーのように部屋で焚くのではなく、主にアスリートのスポーツマッサージ用オイルとして使われている。

まとめ

さて、アロマやハーブは香りや味を楽しむだけでなく、もっともっと奥深いことに少し気づいていただけただろうか。健康を意識してニンジンやブロッコリーを食べるように、アロマやハーブも自分の体に合った取り入れ方をして欲しいと思う。

アロマテラピーが日本に入ってきて15年余り。正しいアロマやハーブの知識が広がるように私自身も努めていかなければならないと思う今日この頃だ。

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AYAMI

磯部綾美

自然派&無添加石鹸『アロマティシア』オーナー。早稲田大学大学院で心理学を学び、卒業後は大手化粧品会社などのマーケティングリサーチを担当。2011年より『アロマティシア』を立ち上げ、オリーブオイルやはちみつを使った【食べられる材料で作った石鹸】を販売。『香りと暮らし研究家』として活動し、香りや自然を取り入れた暮らし方について伝える講座や活動をしている。趣味はキャンプで週末は森の中で過ごすことが多い。

WEB : http://aromaticia.com/

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